FGカウントダウン当日! 待ちに待った、約束の日。 5月31日。 それは、貴方のお家に彼らがやって来る日。 そこではきっと、こんなバトルが繰り広げられているのかもしれない――…。 「…………」 「…………」 「…………」 何の因果か、桐嶋伊織、岬虎太郎、諸星哲の三人はうっかり遭遇してしまっていた。 もちろん、三者三様ともに可愛い彼女を自宅まで迎えに行く途中である。 互い、伺うような視線を向けあう。 じっとりとした視線が、三人の間で火花を散らす。 「ねえねえいおりん、さっきあっちに可愛い子がいおりんのこと探してたっしょ」 「はっはっはー、それなら虎太郎の方こそ、さっきメッチャ可愛いパインちゃんがオマエのこと探してたぜ?」 「伊織、声が笑ってねぇよ。 つか、それなら二人仲良くなんぱの旅にでも出てきたらどうだい?」 ツッコミを入れつつ、しれっと哲が美味しいところを掻っ攫っていこうとしていた。 「…………」 「…………」 「…………」 二回目の沈黙。 三人して顔を突き合わせ、まさに三竦み状態である。 それから最初に離脱しようとしたのは虎太郎だった。 だん、と勢いよく踏み出し、一人抜け駆けして一足先に彼女の元へと行こうとしたのだ。 「待っててねベリーちゃん、今きみのオレっちが行くから……!」 「きたねぇぞ虎太郎!」 「なんだ、かけっこかい? 負けねぇぜ!」 伊織の伸ばした手が、虎太郎の上着の端を掴む。 力任せにぐいと引き戻され、ぐえ、と虎太郎がのけぞる。 その隣を、駆け抜けようとしたのは哲だ。 「哲も待てし……!!」 虎太郎を引き戻した勢いで加速した伊織は、そのまま腕を伸ばして哲をも捕獲しようとするが……。 さすが現役野球部。 タッチの差でその手が届かない。 ならば。 「虎太郎、止めっぞ……!!」 「抜け駆けはずるいっしょ……!!」 置いて行かれた二人が、ほぼ同時にスタートダッシュを決める。 今ここで虎太郎と伊織で潰しあっていれば、自然と哲の独り勝ちになってしまう。 それは見過ごせない事態だ。 互いにひたすら本気で、哲の背中を追いかけて全力疾走。 サッカーやバスケとそれぞれスポーツで鍛えた二人もなかなかの俊足である。 「負けるか……!!」 「オレっちだって負けられないっしょ……!」 「はは、負けてられないねえ……!」 彼女の家まであと少し。 走って、走って、走って。 誰よりも早く、彼女に会いたい。 一緒に、いたい。 そんな一心でひた走る彼らの目の前で、ゆっくりと彼女の家の玄関が開いた。 そろそろ待ち合わせの時間なので、彼女が家から出てきてくれたのだろう。 「……!」 「……!」 「……!」 彼女の目の前に、ほぼ同着で駆けつけて。 三人は、いつかのように手を差し出す。 「行こうぜ! オレとデート、してくれんだろ!」 「にゃにおう……!? ベリーちゃん、オレっちとデートしよう!」 「俺だって負けてねぇぜ! なあ、俺と一緒にデートに出かけようぜ!」 さあ。 爽やかで刺激的なデートを始めよう。 TOKYOヤマノテBOYS フレッシュジンジャーディスク! 本日発売! |