FGカウントダウン1日前!




「…………」

哲は、何気なく携帯へと視線をやった。
ぱかり、と開いて中の画面を確認。
メールが来ている様子はない。

(……来てねぇか)

ちょっと、気落ちして。
それと同時に、

(……良かった)

なんて、ちょっとほっとした。

「……俺ぁ、一人で何やってんだか」

思わず声に出して呟いて、哲はごろんと居間の畳の上に転がった。
彼女からメールが届いていないことにちょっとだけがっかりして。
その後、何の連絡もないということは明日のデートの予定に変更はないのだと思い当たって、安心した。
なんだか、不思議な心地だ。
半年前まで、哲は携帯を持ってすらいなかった。
携帯なんてなくても困るとは思ってなかったし、それを使いこなす自分というものもちっともイメージすることは出来なかった。
友達とは学校で待ち合わせ場所と時間を決めてしまえば、問題なく休みの日だって遊ぶことが出来るし。
何か急なことがあったとしても、家の電話で充分間に合っていた。
だから、携帯を持つ必要性を、哲は全く感じていなかったのだ。
TYBに参加することが決まった際に、ウッドリンクから配布された携帯を手に取ったときも、きっと哲はTYBが終わったら使わなくなるだろうな、という程度の感慨しか抱かなかった。
その哲が、今や携帯を駆使して電話をしたり、メールをしたりと、それなりに使いこなせている。

「どれもこれも……、あの子のおかげだぁな」

そう思うと、何やらお腹の中がくすぐったくなる。
哲は、彼女と出会ってから変わった。
TYBのプリンセスだった彼女。
お祭りのようなイベントで、一緒に楽しめればいいと思っていた少女は、いつの間にか哲にとってかけがえのない大事な女の子になっていた。
あの子の声が聞きたくて。
あの子の様子が知りたくて。
哲は、他のヤマノテBOYSや彼女自身から携帯の使い方を習ったのだ。

「使えるようになって……、良かったよな」

ふとした何気ないときに、彼女から言葉が届く。
ふとした何気ないときに、彼女へと言葉を届けられる。
綺麗な花を見たら、写真に撮って彼女へと送る。
『綺麗だね』と、そんな返信に嬉しくなる。
一緒にいないのに、同じものを共有できる。
それに、携帯がなかったら、万が一待ち合わせの場所に待ち合わせの時間に彼女が現れなかったりしたら、きっと哲は心配で気が気でなくなってしまう。
そういう意味で、すぐに連絡の取りあうことが出来る携帯というのは非常に便利な道具だ。
特にここしばらくはお互いに忙しくて、なかなか会うことが出来ていなかった。
その間も、メールを送りあったり、電話をかけあったりとお互いに連絡は取り合っていたから会えなくてもなんとか我慢できていたのだ。

「……早く、会いてぇな」

声だけじゃ物足りない。
ちゃんと会って、触れて、目と目で見つめ合って言葉を交わしたい。

「あ、哲にい携帯光ってるよ」
「……!!」

何気なく、近くを通りすがった弟に言われた言葉に哲は驚くほど素早く飛び上がった。
しゅばっ、と畳の上に体を起こして、手にしたままだった携帯を開く。
期待に、頭上ではふっさふっさとポンパが左右に揺れている。

「……?」

携帯の画面に変化ナシ。

「……えーと、その、ごめん、哲にい」
「ん?」
「えっとその……、ちょっと哲にいをからかってみようと思っただけで……」
「………………………………」

地獄に飲み込まれるか、という勢いで哲のポンパが項垂れた。
いっそ見事なほどに、項垂れた。


「て、哲にい!? そんな落ち込まなくても! ごめん! 本当にごめん!! 哲にいしっかりして!!!」



FG発売まであと一日!
頑張れ諸星哲!