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さくさくさく。
まずはあんこを一口サイズに切り分けて。
続いて、材料となる粉類を混ぜ合わせていく。
白玉粉と、砂糖と、塩と。

「えーっと分量はこれでええんよね」

先にきちんと測って用意しておいた材料をボールの中で混ぜ合わせながら、歩夢は小さくつぶやく。
いつもはお気に入りのお店で買って食べるだけの塩大福を、自分で作ってみようなんて思ったのはもしかしたら時間を持て余していたからなのかもしれない。
大好きな彼女に会えるまであと三日。

(せっかく会えない時間があるなら……、何か驚かしたいな)

そんなポジティブな発想から、歩夢は彼女に驚いてもらうために、お菓子作りに挑戦することにしたのだ。
調べてみたところ、大福はそんなに難しくないようだ。
材料にしても、全て近所のスーパーで買い揃えることが出来た。
そして実際に、レシピ片手に歩夢は早速塩大福のレシピに挑戦しているのである。

「喜んでくれるかな」

いつも、歩夢が美味しいお店に連れて行くと喜んでくれる。
笑ってくれる。
お店で食べる塩大福ほど美味しくは作れないかもしれないけれど……。

(彼女なら、喜んでくれるよね)

おれの手作りなんだよ、って言ったら、きっと驚いたように目を丸くするだろう。
そしてそれから、すごいね歩夢くん、なんて褒めてくれる。
彼女に会うまであと三日。
その三日の間に、美味しい塩大福を作れるようになって、彼女に食べてもらうのだ。

「いざとなったら、団子さんにちょっと味見してもらおうっと」

団子さんは団子のプロだ。
きっと良いアドバイスを貰えるだろう。
そうして。
三日後に迫る彼女とのデートに向けて、着々と歩夢はパワーアップを続ける。
目指すは甘味も作れちゃう系男子である。

「待っててくださいね」

幸せそうにつぶやいて、歩夢は材料をこねる。
きっと彼女の口に入る塩大福は、歩夢の愛情たっぷりの甘い甘い幸福の味がする。

END



PR発売まであと三日!
頑張れ百瀬歩夢!