え……読んでみてくれ? おれ様が読むの? 今?
でもおれ様、絵本よりハニーちゃんを、
ねっちょり見てる方が楽しいしぃ……。
ええっ? ハニーちゃんが、おれ様にお願い!?
わかった、おれ様読むね! 今すぐ読むね!
ほげらっちょと読んじゃうねン!!
ね、ね。それじゃあ代わりに、おれ様からのお願い。
絵本はハニーちゃんが持って、バビッとめくってくれる?
ん、なんで自分で全部持たないのかって?
だってさ、ほら、こうして……。
ハニーちゃんのこと、ぎゅってしてたいんだモン。
絵本持つために、ハニーちゃんのことぎゅっとできないなんて、
おれ様、耐えられないんだもーん。
むふふっ、ハニーちゃんてば、くすぐったがり屋さんで、可愛いなあ。
えっへん、それじゃあ、読んであげちゃうねん!
* * *
もしおれ様が王様みたいに、
黄金の魔法が使えるようになっちゃったら、放っておいてね?
ハニーちゃんと触れ合えないなんて凄く凄く悲しいけど、
おれ様、ハニーちゃんを金の延べ棒ちゃんなんかに
変えたくないよ……。
……え? おれ様が寂しそうだったら、放っておけない?
金の延べ棒に変えられてもいいから、側にいる……?
ハニーちゃん……。
ぐしっ。……おれ様怖いけど、もう泣かない。
ちゃんと最後まで読むよ。
王様だって、女の子が黄金になっちゃったんだモン、
絶対バビヤバスって思って、絶対なんとかするよね?
だからおれ様、ちゃんと読んで……
どうしたらいいかを、ちゃんと知っておかないとだよダヨ。
ハニーちゃん……おれ様の手を握って。
……うん、頑張る。聞いててね、ハニーちゃん。
まさか貴女は泣いてないだろうね?
いや、貴女はすぐ他人を心配し、心を痛めるだろう。
確かめさせてくれないか……ほら、僕を見て?。
……よかった、泣いてないね……(※キス)
ん? なんでキスするのかって?
だって、貴女がそんな顔で僕を見上げてくるから。
僕の腕の中で僕を見上げて、
キスする時みたいに、瞳は少し潤んでいた。
我慢できなくても、至極当然だろう?
唇も少し……ほら、わかるか?
僕の指が触れるだけで、微かに震えるんだ。
またキスしてって、僕を誘ってる……。
* * *
王子様がシンデレラに向かって微笑みます。
『貴女を一目見た時から、
あの夜の姫だということは、わかっていました。
僕は貴女が大好きです』
さあ、こっちを向いて? そう……僕の目を見て。
――僕と共に来てくれませんか?
……シンデレラがなんと答えるかで、この物語の結末は変わってしまう。
王子から手を差し出されて、貴女は……なんと応える?
……そうか、ありがとう……。
僕もこの王子と同じように、ずっと貴女を探してた。
僕のプリンセス……もう、離さない。