暗い森の中、王子は馬を走らせて……。
森の中にある美しい湖へとたどり着きました。
すると……ぱしゃん、ぱしゃん。
……水音がしました。
王子は水音に耳を澄ませます。
どうやら、湖ではキレイな白鳥が羽を休めているようでした。
王子は、一際美しいその白鳥へと、矢をつがえ狙いを定めました。
そして矢を放とうとした瞬間――……
なんとその白鳥は、美しいプリンセスへと姿を変えたのです。
……マジで!? パネェな、白鳥!
でもまあ、どんなにそのプリンセスが美人だったとしても……。
オレのプリンセスには負けるけどな(※キス)
え? ちゃんと本を読んでくれなきゃ困る?
可愛いなあ、オマエ。
キスしただけで、そんなに赤くなってさ。
もっと、いろいろしてやりたくなる。
* * *
なあ、オレだけのプリンセス。
オレはオマエに真実の愛を誓うぜ。
どんな悪魔にも、騙されたりなんかしねぇ。
どんな困難が目の前に立ちふさがったとしても、オレはオマエを諦めねぇ。
一緒に乗り越えて見せる。
……へ? これは絵本だから、そんなに熱くならなくても?
あーわりぃ。つい夢中になってたわ。
でもさ、マジな話。
オレだったら、例えオマエが白鳥でも、ガチで愛してやんよ。
いいんだよ、オレはそれくらいオマエに惚れてんの。
ってことで……どうだった。オレの絵本スキルは?
……あ? ひょっとして……物足りない?
へぇ。だったら、もうちょいサービスしてやろっか?
ほら、目ぇ閉じてみろよ。
大丈夫だって、変なことはしねーよ。
継母は、夜になるとそっと魔法の鏡を取り出し、問いかけました。
鏡よ鏡、世界で一番美しいのはだぁれ?
鏡は答えます。
世界で一番美しいのは、オレっちのベリーちゃんだよ!
白雪姫よりも、御妃様よりも、ベリーちゃんの方がいっちばん可愛い!
にゃにゃ……っ!?
にゃんで今オレっちどつかれたの〜!?
どこが可愛いって……。
そりゃもちろん全部! っていいたいところだけど……。
今だったらほら、ちょっと赤くなっちゃってるところだったり?
(※キス)こうやってオレっちが、ちゅーすると赤くなっちゃうところとか?
耳元で囁くのも、ベリーちゃん弱いよね?
* * *
王子様は、白雪姫の美しさに惹かれるようにして、
花に包まれ棺の中に横たわる白雪姫へと歩み寄り……。
なんと美しい姫だろう……。
透き通る肌も……(※キス)青ざめてしまった頬も……(※キス)
なめらかな首筋も……(※キス)
まるで眠っているようにしか見えない……。
ほら、動いちゃだめだよ。
王子様がキスするシーンでしょ?
え? なんで本当にキスするのかって?
それはほら、臨場感的な〜?
だからこうして……(※キス)
あれ? ひょっとして、くすぐったかった?
……可愛いなぁ、本当に。
今すぐ食べちゃいたいくらいだよ。