ほわ〜、優しいなあ。きっとクマさんは、すっごく嬉しかっただろうね。
だって寒い日に、一人でいたら心細いでしょ?
だから、白バラちゃんが優しくしてくれて、幸せだったんじゃないかな。
おれがクマさんだったら、絶対に幸せだよ。
白バラちゃんのこと、好きになっちゃうかも。
ねえ、きみが白バラちゃんだったら、
クマのおれのこと家にあげて、毛布を貸してくれる?
わあっ、ほんまに? へへ、嬉しいなっ。どんなに外が寒くても、
きみが貸してくれた毛布ならあったかいだろうなぁ。
でも、毛布を独り占めなんて、悪いから……おれと一緒に寝ようよ。ね?
クマなんだから、もふもふで気持ちいいと思うよ?
もちろん、クマじゃない普段のおれときみで、
一緒に寝るのもいいと思うけどね。
えへへ、いいじゃない。恋人なんだし。
たまには一緒に、お布団でごろごろしたいな。こうやって、
ぎゅってしてると、気持ちもぽかぽか、あったかくなってこない?
* * *
大好きなクマが王子様だったことに白バラちゃんは驚いていましたが、
結婚すれば、クマ……、いいえ、王子様と
これからもずっと一緒にいることが出来ます。
『私も、クマさんと一緒にいたいです』
そう言ってくれた白バラちゃんに、王子様は微笑みました。
そして、白バラちゃんのほっぺに、唇を寄せると……(※キス)
……キスを、しました。
えへへ。きみのほっぺたが近くにあったから、つい。
本当にキス、しちゃった。
白バラちゃんと、王子様が二人とも幸せになれそうで
いいなあって思ったら、きみにキスしたくなったんだ。
……駄目だった?
顔が赤くなったようだが……。風邪か?
やはり縁側は風が冷たいのではないか。
無理はしないでくれ、部屋に戻ろう。
……なんでもないから話を進めてくれ、と言われてもな。
大丈夫には見えないぞ。……少し前髪を失礼するよ
……ふぅ、やはり額が熱くなっているな。
風邪の予兆かもしれない。
風邪ではない? だが……。
ああ、わかった。ならばせめて、こうさせてくれ。
俺が君の風よけになろう。
俺の腕の中にいれば、少しは温かいだろうか?
……そうか、良かった。では、物語に戻ろう。
* * *
騎士は、一目でプリンセスに心を奪われてしまいました。
『ああ、なんと美しいプリンセスなのだろう。
この方が目覚めたら……、俺の妻となってはくれないだろうか』
……俗に言う、一目ぼれなのかもしれないが、
少々性急ではないだろうか。まだ互いに会話も交わしておらず、
両親への挨拶もしていないというのに。
む? なぜここで笑う。た、確かに俺もかつては、
出会ったばかりの君に 求婚をしたものだが……
今ではわかっているつもりだ。心の底から、人を愛するという気持ちが。
こうして、互いに思いを育むということを
教えてくれたのは、君だったな。
だが、一目ぼれの気持ちも、わからなくはないんだ。
きっと、俺が初めて君に出逢ったときと同じような
気持ちだったのだろうから、な。
騎士は、眠るプリンセスの傍らに跪くと……そっと口づけました。
目を覚ましたプリンセスが、どうか自分を好きに
なってはくれないかと願いながら。
……(※キス)
……どうだろうか、プリンセス。
この口付けで、目覚めてくれそうか?