伊織 :
じゃあオレのこと好き?
チヒロ:
えっ!?
伊織 :
くくくっ。
オマエ、今すげー顔してる。
チヒロ:
それは伊織くんが変なこと
言うから……!
伊織 :
別にヘンなことなんか
言ってねーだろー?
伊織 :
明日からはサシデートなんだしよ。
ちょっとぐらい脈があるかどうか
聞いたっていーじゃん。
チヒロ:
脈があるかって……。
チヒロ:
(そ、そんなこと聞かれたら……っ)
伊織 :
……へへっ。
それだけ赤くなるってことは、
結構オレ、いいカンジ?
チヒロ:
だ、だからそういうことを……っ!
伊織 :
……って!
チヒロ:
わわっ!?
チヒロ:
(伊織くんがいきなり手を引っ張った!?)
伊織 :
しー……!
今そっちの方、TYBのスタッフが
歩いてった!
チヒロ:
TYBのスタッフ……?
伊織 :
……別に悪いことしてるわけじゃ
ねーけどさ。
見つかったらヤバそうだろ?
チヒロ:
で、でも駅まで一緒に帰るぐらいなら
偶然で誤魔化せるような……。
伊織 :
もう隠れちまったもんは隠れちまったんだし、今さら見つかったら
余計面倒そうじゃん。
チヒロ:
それは確かに……。
伊織 :
っつーわけで、逃げようぜ!
チヒロ:
ええええ!?
チヒロ:
(伊織くんがわたしの手を引いて
走り出した……!?)
チヒロ:
ちょ……っ、伊織くん……!?
伊織 :
ほら、オマエも足動かせって!見つかったらまずいだろ!
チヒロ:
(速い……!
足が長いから一歩が大きくて……!)
チヒロ:
ちょ、……っ、待って……!
伊織 :
何ならオレが抱き上げてやろうか?
チヒロ:
余計に目立つよ……!
伊織 :
確かに!
さっすがプリンセス、あったまイイな!
チヒロ:
そうじゃないと思う!
伊織 :
ははっ!
なんか楽しくなってきた!
チヒロ:
も、もう……っ!!

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