ルーシー:
貸して。
チヒロ :
え?
ルーシー:
音が完全にずれてる。 リズムもめちゃくちゃ。
チヒロ :
え、えと……。
ルーシー:
力はいりすぎ。
もっとリラックスしな。
チヒロ :
リラックス……。
ルーシー:
ルーシーが歌うから、
それに合わせて歌って。
チヒロ :
う、うん。
ルーシー:
ララララー、ラララッ、
ラララー、ララーラー……。
チヒロ :
(ルーシーが歌ってる……)
チヒロ :
(すごく綺麗な声。
こんな素敵な歌を、こんなにも間近で聞けるなんて……)
ルーシー:
なにぼーっとしてるの?
キミも歌うんだよ。
チヒロ :
あっ、はい。
ルーシー:
もっとゆっくりだよ。
無理に声を出そうとしないで。
チヒロ :
う、うん……。
ルーシー:
そう、段々合ってきた。
チヒロ :
ごめんね、ルーシー。
ひどい歌に付き合わせちゃって。
ルーシー:
いいよ。
ルーシーのために歌ってくれたんでしょ?
チヒロ :
それは……。
ルーシー:
そういうキミの思いが詰まった歌だった。
歌は技術じゃない心なんだ。
キミの歌には、心があった。
ルーシー:
嫌いじゃないよ、キミの歌。
チヒロ :
あ、ありがとう。
そう言ってくれると嬉しいよ。

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