哲:
そんじゃ行こうか。
チヒロ:
う、うん。
チヒロ:
…………。
哲:
…………。
チヒロ:
(うう……。
哲くんと手をつなぐのなんて、
初めてじゃないのに……)
チヒロ:
(どうしてこんなに
ドキドキしちゃってるんだろう)
チヒロ:
(哲くんは……、
そうでもないのかな?)
哲:
……ん?
どうかしたかい?
俺の顔に何かついてるか?
チヒロ:
う、ううん、なんでもないよっ。
チヒロ:
(いつも通りだ……。
哲くんはあんまりTYBとか、
そうじゃないとか考えてないのかな)
哲:
あんた顔が赤くねぇかい?
手もなんだかぽかぽかしてる気がすんだが……。
哲:
もしかして、熱でもあるんじゃねぇか?
昼間遊び疲れて、夜になってから熱を出すなんて珍しい話じゃねぇもんな。
チヒロ:
それは子供の話なんじゃないかな……。
わたしは大丈夫。
具合が悪いわけじゃないよ。
哲:
本当かい? 無理してねぇか?
チヒロ:
うん、大丈夫。
心配してくれてありがとう。
哲:
それならいいんだが、
無理しちゃいけねぇぜ?
あんたは大切なお姫様だからな。
チヒロ:
(でも……、今はTYBのデート中じゃないんだよ。
カメラに映ってないのに……)
チヒロ:
(それでも、哲くんはわたしのことを
こんな風に大事にしてくれるんだね)
チヒロ:
(わたしがプリンセスじゃなくっても
……変わらず接してくれるんだ)
チヒロ:
……嬉しい、な。
哲:
ああ、俺もあんたと一緒に帰れて
嬉しいぜ。
チヒロ:
ふふっ、うん。

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